本当に絵が上手い人なんて存在しない!?漫画やイラスト表現の上手い下手議論の不毛さについて
こんにちは、にがおえ画家の やすし です。
「本当に絵が上手いとはなんだろう?」って思うことないですか?
「本当に絵が上手い人ってどういう人だろう?」って思うこともないですか?
今日は、僕が思う上手な絵とはなんなのか?
ということと、そういう議論の意味のなさについて描いていきたいと思います。
友達とかと、あの漫画家の絵は上手いとか下手だとか、
そういう議論をすることはないでしょうか?
ネットとかでも、そういったことって結構話題にはなりますよね。
絵の世界に入っても、やっぱそういう議論は尽きないです。
なんか自分の好きな作家が批判されたり、
自分の絵とかも下手だどうの言われて、
ちゃんと説明されたとしても、なんか納得できないってことないですか?
素人の意見は、なんもわかってないで言っているのので、
そんなに真に受けなくてもいいと思います。
でも、プロの世界でもなんか意見が割れたりするので、
上手い下手ってどう判断すればいいんだ?ってなります。
そして僕は似顔絵を主に仕事にしているのですが、
絵が上手い人でも似ていない似顔絵を描く時があります。あと、絵が上手いだけでは似顔絵が描けなかったりするんですよね。一見絵が下手な人の方が似顔絵を描くのが上手いという場合もあり、
絵が上手いってどういうことなの????
と、わけが分からなくなってきます。
僕の出した結論としては、
絵がめちゃめちゃ上手い人はいても、本当に絵が上手い人なんて存在しないってことに行き着きました。
そのことについてこの記事では書いていきます。
絵の上手さは主観で決まってしまう?
そもそも上手い絵とはなんなんでしょうか?
絵の上手い下手って、突き詰めて行くと、よく分かんないんですよね。
なんでかというと、どうしても見る人の主観ってのが入っちゃうから
なので、本当に上手な絵なんてものは存在しないのかもしれないんですよ、、
仮に写真のようにリアルに描いた絵を上手な絵としましょう。
こういうものは誰にでもわかりやすく、上手な絵だと思われがちなんですが、
絵のことをよく知っている人からすると、
なんの面白みもない絵だとか、いちいち人が描く必要の無い絵
あえて言うと、訓練すれば誰でも描ける絵だったりするんですよねー。
上手な絵を描ける人でも下手な絵を描く場合がある
仮に、写真のように描ける技術を持っていたとしても、
いざ、何も見ないで「ニワトリ描いてって」なった時に
足が四つで、手もある、トンチンカンな絵を描く場合があったり。
僕はデッサン教室で、そういう人を見てきたんですが、
果たしてこういう場合、本当に絵が上手いと言えるのか疑問ですよね?
表面的な上手さ以外のものとは?
僕が、絵の上手い人の特徴だと思うものに、
「描くものに対する理解度」というのがあります。
要は描くモチーフに対して知識があるかどうかです。
例えば、車を描くとしましょう。
ただ単に車を描くだけなら誰でも描けるんですよ、ちゃんと訓練すれば、
訓練次第で、本物そっくりにも描ける、
でも、描くものに対する理解度がなければ
上手く描けていても、表面的に捉えることしかできないんですよね。
元になる写真と違う角度で描いた場合、ちゃんとその車らしく描けるか?
ってなった時、理解度が低い人は途端に描けなくなる。
でも理解度のある人なら、対象を頭の中で3dで捉えてるから
違う角度からも描けたりするし、
もっと発展すると、頭の中で想像した車を
ちゃんと人が乗れて走り出せそうな感じに描けちゃったりする。
鳥山明先生なんかそうですよね。
やっぱりあの絵というのは、
メカとか生き物に対する理解度が高いから、描ける絵なんだと思います。
ちなみに、理解度を高めるにも訓練はいります。
好きなものは、やっぱ理解度が高くなりやすいですよね。
宮崎駿監督なんかは、飛行機が好きだから、
航空関係のものを描かせたら、めちゃ上手いし、
(他もすごいけど)
頭の中にある飛行機を魅力的に描けたりする。
偏見が絵を下手に感じさせる
でも世の中には、理解度の高い絵が描けていても、
本物そっくりに描けてないから下手だと思う人がいるんですよね。
あと、なんとなく絵柄が自分の好みじゃ無いから下手って言う場合もある。
鳥山先生なんかも、今描いてる絵について下手だと言われますよね?
確かに、昔の絵柄の方が魅力的なのはわかるけど、
下手になったは言いすぎじゃねーかなと思うんですよね。
絵柄次第で、上手い下手だの言われることの代表格としては
「荒木飛呂彦先生」の絵が上げられます。
ジョジョ嫌いな人は、あの絵を下手だと思っちゃうんですよ。
でも、美術の学校とか行くと、あの絵すげーって言う人が
かなり多くなってくる。
似顔絵なんかでも、デフォルメされて漫画っぽい絵はダメで、
リアルなものがすごいんだという人がいたりする。
年配の人に多いかな?
それに、絵描きによっては、得意不得意があるんですよ。
本物そっくりに絵が描ける以外に、理解度というものが、
絵の上手い下手に関わってくると話したけど、
さっきも言ったように理解度ってのは、
対象を何度も描いて、頭にインプットして行く必要があるし、
好きな対象じゃ無いと、なかなか理解を深めることは難しい。
なので、興味がないものは、あんまりうまく描けなかったりするんです。
まとめ 主観からは逃れられないし、主観を否定することもできない
このように、絵の上手い下手を判断するのは、実に難しいんです。
本当に絵が上手い人というのは実は存在しないのかもしれない。
それか、いても認識されてないかもしれない。
僕は、絵を描いているし、そこそこ上手いから、
上手い下手はよく分かっていると思うんですけど、
でも、結局僕の主観なので、言い切れないんですよね。
言い方がややこしいですが、
「僕が自分より絵が下手だと思う人」が、
「自分が下手だと思う人の絵」をうまいって褒めてたりすると。
何言ってんだよ、お前の目は節穴か!!
ってなっちゃうんだけど、
まー、言ったことに自信はあるけど、言い切れない。
人間は自分の感覚や、主観からはやっぱ逃れられないんですよね。
それに、絵の魅力を決めるのは上手さだけじゃないし
そうやって上手い下手の議論を、延々とやってると
結局主観や感覚によって意見が別れるなって、
議論しても超くだらんなと思ってしまうわけです。
まー、ついやっちゃうんだけど、、
結論としては
自分が感じるものを信じればいいんじゃないかと
これだ!!と思ったら信じてみる。
でも、自分の価値観は人に押し付けないみたいな
そういうスタンスを身につけるといいんでしょうね。
自分がいいと思ったものは、とりあえず自分にとっていいわけだから、
感じたことは、別に間違いと思わないことにしましょう。
p.s
まぁどう考えても絵がうますぎだろって人は存在します。
韓国の漫画家・イラストレーター「キム・ジョンギさん」のライブペインティング映像です。
知らない人は、観たらビビりますよw
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Comment
大変勉強になりました!
ありがとうございます。
まだ、自分でも上手く言えてるとは思えないのですが、
上手いかどうかより、良い絵かどうかを語り合うほうが有意義だと思います。
全面的に同意
デッサンしか能の無い滓絵師クッソ嫌い
虚無から生み出せねぇ無能やからな
こんばんは。いつも真摯なコメントを頂いて、漫画を描く糧にしています。とあるサイトにイラストをupしたのですが、「絵はアタリをつけて描かねばならない。」「A4に描く場合は、まずB5にアタリを小さく描いて、それをA4に移す方がいい」と言われました。その人は「何度も描き直して紙が破れました。」というわたしの自嘲気味のコメントと、わたしのデッサン不足で、そういうコメントをしたと思います。しかし、そのコメントにちょっと違和感を感じました。絵はどのような過程であれ、魅力的で良い絵が出来上がれば、結果的にはいいのではないかと、乱暴な考え方をしています。デッサンの練習は絶対必要だとは承知しています。恥ずかしいのですが、わたしは画力がないので、納得がいくまで、描いては消し、描いては消しの繰り返しです。ある時点まで行くと、あ、これで良い絵が描けたなと、仕上げます。アタリをつけて描くというのも基本ではありますが、もしかしたら、書き手によっては、もっと違う描き方をしている人もいるのではという疑問が出てしまいました。画力がある人も独特の方法があるかもしれないと。わたし自身は絵が下手なので、アタリをつける練習をしなければいけないなと思っているのですが。
清水様
コメントありがとうございます。
また頂けて嬉しいです(^ ^)
結果的に良い絵が描ければそれで良いとは思いますが、上手い絵を描く為だったり、作用効率を上げるためには、美術の基礎は必要かもしれません。
「アタリ」をつける目的は、大まかな全体を捉えるためにあります。
最初に大まかな形を捉えていかないと、途中で形が狂ってるとか、絵が画面内にちゃんと治んないとか、そういうことが起こります。
達人になると、「アタリ」をつけなくてもペンでいきなり上手く描けるのですが、相当訓練が必要ですね。
あと、絵は「構成(どこに何を描くか)」というものも重要になってくるので、全体を見ながら描く必要があります。
ちなみに、
漫画家を目指すならデッサン力はあまり気にしなくても良いかなと思います。
漫画家を目指す人で、絵が上手くなりたいのであれば、「好きな漫画の1ページの画面をそのまんま写す」をやりまくるのが一番効率がいいかもしれません。
めんどくさいのですが、「画力と構成力をつける」一度で二度美味しい訓練になります。